星野道夫さんのこと

時の過ぎるのがあまりにも早くてびっくりしてしまうけれど。
アラスカでいのちを撮りつづけた、敬愛する写真家の星野道夫さん。
8/24~9/5まで松屋銀座で開催されている没後20年写真展「星野道夫の旅」へ、台風の影響のある雨の日に行ってきました。

もう、20年になるんですね、、、
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3歳の息子にも、道夫さんの世界を感じてほしくて一緒に連れて行ったのであまりゆっくりはできなかったけれど。

今回も、アラスカに生きるたくさんのいのちの息吹と、大地の躍動と空のひろがりが感じられて。
まるで、そこに星野道夫さんも一緒にいるようないのちの輪の中で、なんだかとても励まされて帰ってきました。
やっぱりいのちは、いのちに励まされ勇気づけられて、生かされてあるんだなぁ。

星野道夫さんという人に出会ったのは中学の3年生の時。
それから、全部の本をもう思い出せないぐらい繰り返し読んで。体中に星野道夫さんの文章とか感性が染み込んで自分の大切な芯を作ってもらったような、そんな気がします。

彼の透徹した文章は、折々にこころの深いところに響いて。
励まされたり、勇気づけられたり、ほっとしたり。
その時々でいろいろなパワーをもらってきて、彼に出会っていない人生なんて考えられないくらいです。
、、、実際ご本人にお会いしたことはないのに(笑)。すごいなぁ。その在り方、存在感。

星野さん自身もきっと、あまりも大きないのちの流れの中に身を置く中で、自然からそういうメッセージを受けとってこられたんだと思います。
たった一人でアラスカのあの雄大な大地で寝泊まりをし、孤独と向き合う時間。
それはきっと、自分と向き合う時間であり、大地と向き合う時間であり、そしてそこに生き、死んでゆくいのちの循環と向き合う時間。
そんな深い深い時間から紡ぎだされた言葉と物語。

まるで、大地やいのちの語り部のように、わたしたちとたくさんのいのちを繋いでくれた人。道夫さん

どの写真からも伝わってくるのは、孤独とか希望とか、いろんなものを超えた深い愛、そんな気がします。
彼は、アラスカという土地も、たくさんの動物たちも、出会った人たちも深く愛しきることのできる人だったのだと思います。
そして、誰よりも深く、愛された人だったのだ、とも。

そのまなざし、笑顔。紡がれる言葉。
うまく言えないけれど、全部が愛そのもの。そう思います。
だからこそ、こんなにも長く愛され、伝えられ続けていんじゃないかな。

クリンギット族の語り部、ボブ・サムがある旅の際に語ったというクリンギット族の創世神話。

「木を敬い、彼らと同じように生きなさい
ワタリガラスが与えた魂を私たちはわかち合い、生きている
だから、木も
私たちと同じように生きている
木の周りをよく見るがいい
空を飛ぶ若者がその翼を休めている
木の周りをよく見るがいい
大地を歩く者たちが眠っている
木は私たちみんなの家
私たちが木に歌うとき
木の根は土の下でたがいに助け合う
私たちが木に語るとき
あたりに生える草さえも
たがいに根を張り支え合う
だから、お前たちも木と同じように生きるのだ
木は私たちと同じように生きている

(「クリンギットに伝わる創世神話」より)

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こんな世界観の中で生きていたら、もう結局、この世界は本当は愛でできているんだなと、心ふるえてしまう。
いのちの本質は、変わっていくことと、愛なんだと思うのです。言葉にするとちょっと気恥ずかしいけれど。

そんな世界に寄り添うように生きた星野さんの紡ぐ言葉もやっぱり深い愛情に満ちていて。
だからこそ、その言葉は強いパワーを持ってたくさんの人を支え、勇気づけてきたんだと思います。

「小さなたき火が揺れている。パチパチ、パチパチ、僕の気持ちをほぐしてくれる。
熱いコーヒーをすすれば、もう何もいらない。

やっぱりおかしいね、人間の気持ちって。どうしようもなく些細な日常に左右されてゆくけど、あたらしい山靴や、春の気配でこんなにも豊かになれるのだから。

人の心は深く、そして不思議なほど浅い。きっと、その浅さで人は生きてゆける」
(「Araska 風のような物語」)

 

「無窮の彼方へ流れゆく時を、めぐる季節で確かに感じ取ることができる。
自然とはなんと粋な計らいをするのだろうと思います。
一年に一度、名残惜しく過ぎてゆくものに、この世で何度巡り合えるのか。
その回数を数えるほど、人の一生の短さを知ることはないのかもしれません」
(「旅をする木」)

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何度となく読み返していると、いくつもいくつもも、折々に響く言葉に出会います。
そして、その言葉たちを読んでいると、ふと、彼は旅立ちが早いことを知っていたのかもしれないな、、、と思うことも。
生も死も、自然のなかではすべて循環していくから。きっと、彼には生も死も同じこと、だったのかもしれません。

彼の死後20年がたっているけれど、こんなにもいまも、多くの人の心を揺さぶり、支え続けているのは、彼の魂は生きて旅を続けている、ということなのだと思います。
生も死も、孤独も希望も切なさも、喜びも。
いのちのすべてを愛し抜いた、あの魂は、いまもきっと。

9/8(木)~9/19(月)まで「星野道夫の100枚 展」も企画されています。
没後20年展を見逃してしまった方は、こちらでぜひ、星野道夫さんに出会ってみてくださいね。

2016-09-04 | Posted in blogNo Comments » 

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