あめのひのピクニック

FullSizeRender.jpg4

はじめてガブリエル・バンサンの絵本に出会ったのは「アンジュール」という絵本でした。白と黒のシンプルなデッサン画。その中から迫ってくるすてられた犬の哀しみに圧倒されて。こんな絵本もあるのかと驚いたのを今でも覚えています。

次に読んだのは「テディ・ベアのおいしゃさん」。この中にも、なんというか「失う哀しみ」みたいなものがギュッと詰まって描かれていて。

バンサンという人は、愛されること、失うことの哀しみの両方を心の深いところまで降りていって描くことのできる、厳しくて優しくてあたたかなひとなんだな、と読むたびに思います。

 

今回ご紹介する「あめのひのピクニック」は、くまのアーネストおじさんシリーズの一冊。このシリーズは、なんというか全編がとてもあたたかいものに満たされているのだけれど、その中にも時折上にあげた2冊のような「失う哀しみ」みたいなものが織り交ぜられていて。

誰かと一緒にいるからこそ感じる喜びや哀しみが、優しい色彩の絵に包まれてそっと描かれていて。ふと、幸福になったり、隣に大事な人がいない寂しさを感じたりする。なんというか、気持ちの傍らにそっと寄り添ってくれるような感じが私はとても好きです。

 

やさしいくまのアーネストと、ちょっぴりおしゃまで生意気ででもアーネストのことが大好きなネズミのセレスティーヌの織り成すやわらかな色彩の優しい物語たち。

「あめのひのピクニック」は、そんなくまのアーネストおじさん全17冊のエピソードの中でも大好きな1冊です。

 

ピクニックに行く約束をしたアーネストとセレスティーヌ。前の晩からお弁当を仕込んで出かける準備をして。朝張り切ってセレスティーヌが飛び起きると外は土砂降り。

FullSizeRender.jpg3

 

アーネストはセレスティーヌをなだめますが、ピクニックをとても楽しみにしていたセレスティーヌの落胆は深まるばかり。

そこで、アーネストは「外がとってもいい天気だというつもり」で土砂降りの中ピクニックに出かけることにするのです。

FullSizeRender

やわらかな色彩から、二人がわくわくとしながら土砂降りの中を出掛けていく様子が伝わり、とてもほほえましい。

私がこどもに土砂降りの中ピクニックをねだられたら。「外がとってもいい天気のつもり」で出かけたりできるかなぁ。。。

アーネストのようなこんな気持ちのゆたかさを、子育て中のいま、もっていたいなぁと思います。

アーネストはセレスティーヌを、セレスティーヌはアーネストのことを本当に大好きで大切に思っているから、相手の想いをいつも本当に大事にする。

でも、相手を思って自分は犠牲になる、とか無理をするというのではなくて、どんな時も自分自身も一緒に楽しんでしまうアーネストの楽天性は、セレスティーヌの素直な気持ちを引き出して、お互いの信頼関係の深いところを支えているような気がします。

子どもって、親の気持ちに敏感で。親自身が楽しんでいるかどうか、無理していないか敏感に感じ取るから。親自身が本当はどんなふうに感じているかしっかり感じている、と思います。

 

頭で考えるよりも、まず感じること。

そういうことを大事にしているとアーネストみたいに、こどもの本当の気持ちに寄り添って一緒に楽しむことができるんじゃないかな、と思ったりもします。

そういうの、とてもいいな、と思うし大事にしたいなと思うのです。

 

 

FullSizeRender.jpg2

目的地について雨の中のピクニックを楽しむ二人。
大好きな人と、一緒にいる時間を分かち合って、いまこの時を楽しむことができたら。

降っても晴れても、それはとても幸福な1日。

そう思わずにはいられない、あたたかな絵本です。

雨でおうちに閉じ込められがちな梅雨のこの季節にぜひ、開いてみてくださいネ。

きっと、なにか楽しいことの見つかる雨の日になると思います。

 

 

2015-07-04 | Posted in おとなのための絵本の森No Comments » 

関連記事

Comment





Comment